弁済の提供
弁済の提供とは、弁済を行うために相手方の協力を必要とする給付について、給付に必要な準備をして相手方に対して協力をお願いすることを言います。
弁済の提供は、原則として債務の本旨に従って現実にしなければならないとされています。
たとえば、1000万円の金銭の持参債務の場合であれば、1000万円をきっちり準備し、相手方のところに出向いて「受け取って下さい。」とお願いするわけです。
ただし、債権者があらかじめその受領を拒み、又は債務の履行について債権者の行為を要するときは、弁済の準備をしたことを通知してその受領の催告をすれば足ります。
たとえば、債権者が「債務の額は1100万円で1000万円では足りない。」と主張し、1000万円の受領をあらかじめ拒んでいるようなときは、「1000万円の支払いをする準備ができましたので受け取って下さい。」と口頭で受領をお願いすれば、弁済の提供をしたことになるということです。
弁済の提供の効果
債務者は、弁済の提供の時から、債務の不履行によって生ずべき一切の責任を免れるとされています。
これは、債務者の側としてはやるべきことをやっている以上、債権者の協力を得られず弁済ができなかったとしても、債務不履行責任を負わせるべきではないからです。
なお、弁済の提供には売買契約等の双務契約の場合、相手方の同時履行の抗弁権を防ぐという効果もあります。
たとえば、売買契約において、売主が弁済の提供を行えば、買主は同時履行の抗弁権を主張することができなくなり、履行しないことが違法な状態となりますので、売主側から債務不履行責任を問うことが可能になるということですね。
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