債権譲渡
債権譲渡とは債権をその内容を変えずに他者に移転することを言います。
債権譲渡は原則として自由にできます。
ただし、その性質がこれを許さないとき(肖像画を描かせる債権のように債権譲渡をすると債務の内容が変わってしまうようなとき)は、譲渡することができません。
また、当事者が反対の意思を表示した場合、すなわち、債権譲渡禁止特約をもうけたような場合にも債権譲渡をすることができません。
ただし、債権譲渡禁止特約は、債権譲渡禁止特約の存在について善意の第三者には、対抗することができません。
つまり、債権譲渡禁止特約をもうけても、善意の第三者への譲渡は有効になるということです。
指名債権の譲渡の対抗要件
指名債権(債権者が特定している債権のこと。)の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができません。
債権譲渡がなされたことについて債務者が知っていないと、債務者は、新債権者に弁済をすることができませんし、二重払いの危険性にさらされることにもなるからです。
また、債務者の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者(たとえば、債権の二重譲渡があった場合のもう一人の譲受人など)に対抗することができません。
これは、権利を争うことになる者との間では、その優劣をはっきりさせるためにも債務者の通知又は承諾があったことについて証拠を残すべきだからです。
なお、債権の二重譲渡があった場合に、両譲受人共に確定日付のある証書による債務者の通知又は承諾という要件を備えている場合、両譲受人間の権利の優劣は確定日付のある証書による債務者の通知又は承諾の到達の先後(確定日付の先後ではない点に注意して下さい。)によって決するものとされています。
指名債権の譲渡における債務者の抗弁
債務者が異議をとどめないで債権譲渡の承諾をしたときは、譲渡人に対抗することができた事由があっても、これをもって譲受人に対抗することができません。
(「たとえば債権額1000万円のうち500万円は既に弁済していたという事実があっても、異議をとどめない承諾を行うと、その事実を譲受人に対して主張することができなくなるということです。)
これは債務者の異議をとどめない承諾に対する、譲渡人の信頼を保護するためです。
なお、譲渡人が単に譲渡の通知をしたにとどまるときは、債務者は、その通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができます。
債務者が異議をとどめない承諾をしていない以上、通知を受けるまでに譲渡人に対して生じた事由をもって新債権者である譲受人に対抗することができるのは、債務者の利益を考えれば、当然のことだからです。
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