追認
追認とは取消すことができる法律行為や無効な法律行為を確定的に有効にすることを言います。
・追認は相手方に対する「追認します。」という意思表示によって行います。
・追認は取消しの原因となっていた状況が消滅した後にしなければ、その効力を生じないとされています。
たとえば詐欺や強迫があった場合の意思表示についてなされる追認は、詐欺や強迫の状態を脱した後になされなければ、その効力を生じないということです。
法定追認
取消しの原因となっていた状況が消滅した後など、追認をすることができる時以降に、取り消すことができる行為について以下のような事実があったときは、追認をしたものとみなします。
以下のような事実は、法律行為が有効に成立したことを前提とするものだからです。
一 全部又は一部の履行
二 履行の請求
三 更改
四 担保の供与
五 取り消すことができる行為によって取得した権利の全部又は一部の譲渡
六 強制執行
制限行為能力制度と追認
制限行為能力制度においても追認というのは非常に大きな意味を持つものです。
以下に制限行為能力制度における追認に関する論点について簡単に整理しておきます。
追認権者
①未成年者が単独では有効にできない法律行為を行った場合
追認権者は親権者・未成年後見人あるいは成年後の本人。(たとえば19歳の時単独で行った法律行為を20歳を過ぎてから追認するということ。)
②成年被後見人が単独では有効にできない法律行為を行った場合
追認権者は成年後見人。(成年後見人には同意権は認められていないが、事後同意である追認権は認められている。これは同意権の場合と違って、追認権の場合、既に法律行為がなされており、その法律行為の内容が成年被後見人にとって不利なものではないと判断できれば、有効なものとしても問題ないからです。)
③被保佐人が単独では有効にできない法律行為を行った場合
追認権者は保佐人。
④被補助人が単独では有効にできない法律行為を行った場合
追認権者は補助人。(補助人の追認権は条文上、当然に認められているものではなく、家庭裁判所の審判によって、特定の法律法律行為について付与される審判があった場合に、その限りにおいてはじめて付与されるものです。)
相手方の催告権と追認擬制(民法20条)
制限行為能力者と法律行為を行った相手方は、制限行為能力者側が取消しも、追認も行わなければ、いつまでも「宙ぶらりん」になる可能性があります。
そこで制限行為能力者の相手方を保護するために追認についての催告権と確答がなかった場合の取扱いについて以下のように定められています。
・制限行為能力者の相手方は、制限行為能力者が行為能力者となった後、その者に対し、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その者がその期間内に確答を発しないときは、その行為を追認したものとみなす。
・制限行為能力者の相手方が、制限行為能力者が行為能力者とならない間に、その法定代理人、保佐人又は補助人に対し、その権限内の行為について催告をした場合において、これらの者が確答を発しないときも、その行為を追認したものとみなす。
・制限行為能力者の相手方は、被保佐人又は被補助人に対しては、1ヵ月以上の期間を定めて、その期間内にその保佐人又は補助人の追認を得るべき旨の催告をすることができる。この場合において、その被保佐人又は被補助人がその期間内にその追認を得た旨の通知を発しないときは、その行為を取り消したものとみなす。
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