根抵当権
根抵当権とは、一定の範囲に属する不特定の債権を極度額(この金額までならいくらでも担保するという担保の「枠」のようなもの。この金額を超える部分については利息はおろか、元本部分も一切、担保されない。)の限度において担保するために設定される担保物権のことを言います。
根抵当権の担保すべき不特定の債権の範囲は、原則として債務者との特定の継続的取引契約によって生ずるものその他債務者との一定の種類の取引によって生ずるものに限定して、定めなければならないとされています。
つまり、どのような債権でも担保するというような、いわゆる包括根抵当権の設定は許されないということです。
根抵当権の性質
根抵当権は抵当権と違って付従性がありません。
つまり、被担保債権がなくても成立するし、被担保債権が消滅したからといって消滅することもないということです。
また、根抵当権は抵当権と違って随伴性もありません。
つまり、被担保債権が譲渡されたとしても、それに伴って当然に移転するということはないということです。
根抵当権は、そもそも特定の債権を担保するものではなく、被担保債権がないときでも担保の枠を確保するために、あらかじめ設定したり、弁済や譲渡によって被担保債権がなくなったとしても、新たに被担保債権が発生する可能性があるので、消滅させずに残しておくことに意味があります。
そのため、根抵当権には付従性と随伴性が認められていないわけです。
ただし、これは元本確定前の話であって、元本確定後は担保されるべき債権も特定されますので、抵当権の場合と同じように、付従性と随伴性が認められることになります。
根抵当権で担保される範囲
根抵当権者は、確定した元本並びに利息その他の定期金及び債務の不履行によって生じた損害の賠償の全部について、極度額を限度として、その根抵当権を行使することができます。
つまり、極度額までなら抵当権のように利息等の定期金について満期となった最後の2年分についてのみ優先弁済権を行使できるというような制限はないわけです。
逆に極度額を超える部分については元本部分であろうと、利息等の定期金部分であろうと関係なく、1円たりとも担保されません。
つまり、極度額を超える部分については、他の一般債権者と同じ立場で弁済を受けることになるということです。
根抵当権の元本の確定
根抵当権は発生と消滅を繰り返す不特定多数の債権を担保することになるため、実行等をするにあたっては、具体的に、どこかの時点で担保されるべき債権を特定する必要があります。
(そうしないと根抵当権で担保されるべき金額等も決めることができませんよね。)
この根抵当権で担保されるべき債権を特定する行為のことを元本の確定と言います。
根抵当権の元本確定期日の定め
根抵当権の担保すべき元本については、その確定期日を定め又は変更することができます。
この元本確定期日はこれを定め又は変更した日から5年以内でなければなりません。
なお、変更する場合、変更前の期日が到来するより前に変更の登記をしないと、元本が、変更前の期日に確定してしまいます。
つまり、変更の登記が変更の効力発生要件になっているということです。
根抵当権の元本の確定請求
元本確定期日の定めがないときは、根抵当権設定者は、根抵当権の設定の時から三年を経過したときは、担保すべき元本の確定を請求することができます。
この場合、その請求の時から二週間が経過することによって元本が確定します。
また、元本確定期日の定めがないときは、根抵当権者は、いつでも、元本の確定請求をすることができます。
この場合、その請求の時に元本が確定します。
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