共有
共有とは一つの権利を複数の主体で持つことを言います。
共有については宅建試験対策上、おさえておくべき論点としては以下のようなものがあります。
共有についての基本ルール
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができます。
たとえば一軒の家を二人で共有している場合、その家を持分で分けた各部分について使用することができるのではなく、あくまで家全体について持分に応じた使用をすることができるということです。
また、各共有者の持分は、相等しいものと推定されます。
これは共有者間に持分に関する定めがない場合に備えた推定規定です。
共有者間に持分に関する定めがあれば当然、それに従います。
共有物の保存・管理・変更行為
共有物の保存行為
共有物の保存行為とは共有物の価値を維持するための行為です。
共有物について雨漏りの修繕を行ったり、不法占拠者への明渡しを請求するような行為が該当します。
共有物の保存行為は各共有者が単独で行うことができます。
他の共有者にとっても必ず、利益となる行為だからです。
共有物の管理行為
共有物の管理行為とは共有物の性質を変えたりしない範囲で利用したり、改良したりする行為のことです。
共有物についての賃貸借契約の締結・解除のような行為が該当します。
共有物の管理行為は各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決します。
人によって判断が分かれる行為なので、民主的に多数持分意見を採用しようということです。
共有物の変更行為
共有物の変更行為とは共有物の性質・形状を変更したり、処分をしてしまう行為のことを言います。
共有物の建替え、大規模な増改築、売買契約の締結・解除のような行為が該当します。
共有物の変更行為は、共有者全員の同意で決します。
各共有者にとって非常に影響の大きい行為なので、共有者全員が納得の上で行うべきだからです。
共有者間の権利義務
・各共有者は、その持分に応じ、管理の費用を支払い、その他共有物に関する負担を負います。
共有者が一年以内にこの義務を履行しないときは、他の共有者は、相当の償金を支払ってその者の持分を取得することができます。
共有者としての最低限の義務を履行しない者がいては、他の共有者が迷惑することになるからです。
・共有者の一人が共有物について他の共有者に対して有する債権は、その特定承継人に対しても行使することができます。
これは共有者間の債権回収を容易ならしめるための規定です。
・共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属します。
所有者が所有権を放棄したり、相続人なくして死亡した時は、その所有権は国庫に帰属するとされていますが、この法理を共有関係がある場合にまで、あてはめてしまうと私人と国が共有することになり、法律関係が複雑になってしまうため、このような特例が設けられているわけです。
共有物の分割請求
各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができます。
共有状態と言うのは必ずしも自然な状態とは言い難いので、それを解消すべき手段は確保されるべきだからです。
ただし、5年を超えない期間内の不分割特約ができます。
共有している当事者が分割を望まないなら、それを否定する理由もないからです。
また、不分割特約は5年を超えない期間内で更新することができます。
なお、共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することもできます。
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