占有権
占有権は、所有権や地上権といった本権とは異なり、事実上の支配があれば取得することができる権利なので、泥棒等、不法行為によって物に対する支配を始めた者についてもその取得が認められます。
代理占有
占有は必ずしも占有権者本人が、直接的になさなければならないものではなく、代理人によって行うこともできます。
この場合の占有を代理占有というわけです。
例 甲不動産の所有者AがBに賃貸している場合、Aは占有代理人Bを通じて代理占有(間接占有)していることになります。
(ちなみにB自身の占有は自己占有(直接占有)となります。)
占有訴権
占有権を侵害された者(侵害されそうになっている者)は、以下のような占有訴権によって、その侵害状態を回復することができます。
占有保持の訴え
占有者がその占有を妨害されたときは、占有保持の訴えにより、その妨害の停止及び損害の賠償を請求することができる。
例 隣家のブロック塀が、こちらの敷地内に、倒れて込んでしまっている場合、占有保持の訴えにより、ブロック塀の除去及び損害の賠償を請求することができる。
占有保全の訴え
占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは、占有保全の訴えにより、その妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。
例 隣家のブロック塀が、今にも崩れて、こちらの敷地内に、倒れて込んできそうな場合、ブロック塀の修繕又は損害賠償の担保を請求することができる。
占有回収の訴え
占有者がその占有を奪われたときは、占有回収の訴えにより、その物の返還及び損害の賠償を請求することができる。
例 占有していたバッグを奪われた場合、占有回収の訴えにより、バッグの返還及び損害の賠償を請求することができる。
占有訴権は、占有権を侵害された場合に、その侵害状態を回復するために認められた権利なので、泥棒等のように不法に占有を開始した者であっても行使することができます。
なお、実際に所有者から泥棒が占有を奪われ、占有訴権を行使した場合、「占有の訴えについては、本権に関する理由に基づいて裁判をすることができない。」とされていますので、占有訴権に基づく訴えは認容されますが、当然、所有者側は本権に基づく反訴を提起しますので、最終的に、盗まれたものは所有者のところに戻ることになります。
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