表見代理
表見代理とは、代理人でない者に代理権があるかのような外観が存在することにつき、本人に一定の帰責性が認められる場合に相手方の善意・無過失を要件にその代理行為を有効なものとして取り扱う制度のことを言います。
つまり、本来なら、無権代理にあたるものとして無効になるはずの法律行為を、本人に責任をとらせるという意味で有効にするということです。
表見代理の種類
表見代理には以下の3種類が存在します。
代理権授与表示による表見代理
第三者に対して、他人に本当は与えていない代理権について、与えた旨の表示をした場合
例;代理行為をさせるために白紙委任状の交付があった場合(直接交付を受けた者がさらに他の者に交付するなど、著しい濫用がある場合は除かれます。)
権限外の行為の表見代理
基本代理権を与えられている代理人がその代理権の範囲外の行為をした場合
例;本人所有の不動産についての賃貸借契約の代理権しか与えられていない代理人がその不動産についての売買契約を締結してしまった場合
代理権消滅後の表見代理
元代理人がその代理権が消滅した後に、代理行為を行った場合
例;不動産会社の分譲用地の仕入れについて代理権を与えられていた者がその代理権消滅後に分譲用地の仕入れを行うために売買契約を締結した場合
表見代理と無権代理の関係性
表見代理は、代理権のない者が代理行為を行っている場合の話ですから、無権代理の一種ということになります。
ただ、代理権があるかのような外観が存在することにつき、本人に一定の帰責性が認められるため、相手方の善意・無過失を要件にその代理行為を有効なものとして取り扱っているに過ぎないということです。
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