クーリング・オフ
宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所等以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主は、書面により、当該買受けの申込みの撤回等を行うことができます。
この際の買受けの申込みの撤回等のことをクーリング・オフといいます。
事務所等以外の場所でうっかりとなされた買受けの申込みの撤回等を認めることにより、買受けの申込みをした者等を保護しようということです。
この場合において、宅地建物取引業者は、申込みの撤回等に伴う損害賠償又は違約金の支払を請求することができません。
つまりクーリングオフは何の負担もなく、できる解除であるということです。
なお、事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主はクーリングオフをすることができません。
つまり、買受けの申込みをした場所と売買契約を締結した場所が異なる場合には、買受けの申込みをした場所を基準としてクーリングオフの可否を判断するということです。
クーリングオフができない事務所等
以下の場所で買受けの申込み等をしたものはクーリングオフをすることができません。
- 事務所
主たる事務所・従たる事務所・契約締結権限を有する使用人を置く営業所 - 次に掲げる場所のうち、1名以上の専任の取引主任者を置くべきもの
イ 宅地建物取引業者の事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するもの
ロ 一団の宅地建物の分譲を行う案内所
土地に定着する建物内に設けられるものに限ります。
ハ 代理又は媒介の依頼をした場合にあっては、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者の事務所又は事務所以外の場所で継続的に業務を行うことができる施設を有するもの
ニ 当該宅地建物取引業者が一団の宅地建物の分譲の代理又は媒介の依頼をし、かつ、依頼を受けた宅地建物取引業者がその代理又は媒介を案内所を設置して行う場合にあっては、その案内所
土地に定着する建物内に設けられるものに限ります。
ホ 当該宅地建物取引業者(当該宅地建物取引業者が他の宅地建物取引業者に対し、代理又は媒介の依頼をした場合にあっては、代理又は媒介の依頼を受けた他の宅地建物取引業者を含む。)が1名以上の専任の取引主任者を置くべき場所(土地に定着する建物内のものに限る。)で宅地又は建物の売買契約に関する説明をした後、当該宅地又は建物に関し展示会その他これに類する催しを土地に定着する建物内において実施する場合にあっては、これらの催しを実施する場所 - 当該宅地建物取引業者の相手方がその自宅又は勤務する場所において宅地又は建物の売買契約に関する説明を受ける旨を申し出た場合にあっては、その相手方の自宅又は勤務する場所
こういう場所で買受けの申込み等をしたのであれば、冷静な判断に基づいて買受けの申込み等しているはずなので、クーリングオフをすることを認める必要はないだろうという考え方です。
なお、3.については依頼者からの申出がなく、宅地建物取引業者が勝手に自宅や勤務する場所に押しかけたに過ぎない場合にはクーリングオフができるという点について注意して下さい。
クーリングオフができなくなる場合
事務所等以外の場所で買受けの申込み等がなされていたとしても、以下のようなときにはクーリングオフをすることができなくなります。
- 買受けの申込者等が、申込みの撤回等を行うことができる旨及びその申込みの撤回等を行う場合の方法について書面をもって告げられた場合において、その告げられた日から起算して8日を経過したとき。
クーリングオフには宅建業者側の契約の成立に対する期待を犠牲にするという側面がありますから、するなら、早くしなさいということです。 - 申込者等が、当該宅地又は建物の引渡しを受け、かつ、その代金の全部を支払ったとき。
クーリングオフをするなら履行が完全に終了するまでにしなさいということです。
クーリングオフの手続と効果
申込みの撤回等は、申込者等が書面を発した時に、その効力を生じます。
書面が到達した、到達していないでもめないようにするためです。
申込みの撤回等が行われた場合においては、宅地建物取引業者は、申込者等に対し、速やかに、買受けの申込み又は売買契約の締結に際し受領した手付金その他の金銭を返還しなければなりません。
つまり、申込者等は一切の経済的な負担なく、申込みの撤回等を行うことができるということです。
クーリングオフ制度に反する特約で申込者等に不利なものは、無効とします。
申込者等に不利な特約をすることを認めてはクーリングオフ制度を置いた意味がなくなってしまう可能性があるからです。
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