宅建権利関係の勉強方法
宅建の勉強方法の全体的な流れがわかったところで、今度は各科目別の勉強方法について見ていきたいと思います。
それではまずは権利関係の勉強方法についてお話しします。
1.民法の勉強方法
民法とは社会生活における一般的な権利関係を定めた法律で、私法の中で最も基本となる法律です。
民法は宅建試験の出題対象とされる法律科目のうち最も重要なものであると考えられます。
民法は単に出題数が多いだけでなく(出題数は10問です。) 、宅建試験で出題対象となるすべての法律科目の基本となる法律科目だからです。
それこそ、絶対に得意科目にするつもりで学習するようにしてください。
民法の学習を行う上で、注意すべき事項は以下の通りです。
①理解することを心がける。
民法の問題は知識の有無を問うというより、知識を事例に当てはめて記述の正誤を問うといったタイプの問題になります。
したがって、インプットして終わりではなく、知識を利用して事例の判断ができるようなレベルを目指して「理解する」学習を心がけるようにしましょう。
②相関図を描くことを習慣づける。
過去問を解く際には、事例の把握が素早く正確にできるようにするために、必ず相関図を描くようにしてください。
相関図の描き方については特に決まったルールがあるわけではないので、自分が好きなように描いてもらって結構です。
ただし、本試験で回答する際にも描くことになるものなので、短時間で描けるようにするために日ごろから、できるだけシンプルな相関図を描くように心がけて下さい。
③特別な判例対策はやらない。
最近の試験の傾向として、判例からの出題が増えていますが、特別な判例対策などはできれば、やらないほうがいいと考えます。
判例対策等をやりはじめると、あまりにも学習すべき事項が増えてしまうからです。
本試験で過去に問われた判例だけを押さえておけば、充分、合格ラインは超えられるはずですので、決して無駄に手を拡げず、過去問での学習だけに集中するようにしてください。
④出題頻度の高いところおよび、得点しやすいところを重点的に学習する。
宅建試験の民法の問題は、民法のすべての範囲から満遍なく出題されているわけではなく、出題傾向にかなり偏りがありますので出題頻度の高いところを重点的に
学習するようにしてください。
(過去問での学習を主体にしていれば自然と出題頻度の高いところに重点を置いた学習を行うことができます。)
また、同じように出題頻度の高いところでも、出題された場合の問題が、得点しやすいところと得点しにくいところがありますので
得点しやすいところについては、取りこぼすことがないよう、特にしっかりと学習することを心がける必要なります。
(得点しやすいところと得点しにくいところの区別についても過去問での学習を主体にしていれば自然とわかるはずです。)
2.借地借家法
借地借家法とはその名の通り、借地権や借家権を定める場合の規制等について定めた法律です。
(民法に対する関係では、特別法ということになります。 )
借地借家法では貸主と借主では常に借主が弱い立場にあるものと考えられており、いかにして借主の利益を保護するかといった視点から様々な規制が置かれています。
借地借家法の条文は全体的に長ったらしく、非常に意味を把握しにくいので、覚えるべきポイントをおさえた学習を行う必要があります。
・民法の規定と借地借家法の規定の違い
・借地法の規定と借家法の規定の違い
・借地法における借地の更新前の規定と借地の更新後の規定の違い
などに着目し、なにしろ知識を整理しながらインプットしていくことを心掛けましょう。
なお、出題数は例年2問で借地法・借家法からそれぞれ1問づつ出題されます。
3.不動産登記法
不動産登記法とは土地・建物等の不動産の権利関係(例えば、誰が所有者であるかなと)を公に公示するための制度について定めた法律です。
不動産登記法は不動産登記の実務について定めた法律であり、関係法令等を合わせて考えると、非常に多くの内容を含んでいます。
そして、宅建試験ではたった1問しか出題されないにもかかわらず、その出題範囲は広範にわたります。
(不動産登記法のプロである司法書士の試験でもほとんど出題されることがないような表示登記に関する問題まで
出題されたりします。)
そのため、あまり深入りしすぎると学習に時間がかかりすぎますので、頻出論点を見極めた上でメリハリのある学習を行う必要があります。
難問が出題された場合には、得点できなくても構わないというぐらいの気持ちで割り切った学習を行う方が良いでしょう。
出題数は例年1問です。
4.区分所有法
区分所有法とは分譲マンションのように一棟の建物のうちの、壁などで区切られた部分を独立した所有権の対象とする場合の規制等について定めた法律です。
区分所有法では議決権等の数的要件について問う問題が多く出題されますので、数字をしっかりと覚えていく必要なります。
・同じ数的要件を持つ規定同士をまとめて覚える
・数的要件が微妙に違うもの同士を比較して覚える
などといった工夫をする事によって、できるだけ正確にインプットすることを心がけて下さい。
出題数は例年1問です。
5.総評
権利関係は全体的に問題の難易度が高く、半分も得点できないなど例年ここで大きくつまずく受験生が見受けられます。
そうならないためにも、無理に難しい事にまで手を拡げず、基本的な問題については確実に得点できるような学習を心がけるようにしてください。
目標総得点は、 14点満点中の10点程度に設定するのが良いでしょう。
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