宅建の暗記方法
宅建は暗記しなければならない事項が非常に多い試験です。
しかし、若い頃ならいざ知らず、一般論として40才あたりを過ぎる頃から暗記力は急激に落ちてしまいますから、ある程度の年齢の受験生の中には暗記学習に苦しんでいるという方も多いことでしょう。
そこで今回は宅建の勉強における暗記方法について簡単に解説しておきたいと思います。
暗記を効果的に行うために知っておきたいこと1
暗記についての具体的な方法論等についてお話ししていく前に、暗記学習を効果的に行うための基本的な考え方として最初におさえておいて欲しいことがあります。
それは暗記と理解は一体のものとして捉えるということです。
暗記学習を苦手とされる多くの宅建受験生は暗記と理解を全く別のものとして捉えていることが多いです。
しかし、実際には暗記と理解は相互に依存しあうような関係にあるものです。
暗記をしようと思えば、多少の理解が必要になりますし、理解をしようと思えば多少の暗記が必要になります。
つまり、暗記と理解は車の両輪のようなもので、双方をバランスよく進めることによってはじめて学習全体を効率よく進めることができるのです。
ですので、暗記学習が思うように進まないという方は、暗記学習ばかりに気持ちを傾けるのではなく、一度、理解するための学習をすることに時間をかけてみて下さい。
たった、それだけのことで暗記学習が一気に進むようになるということがよくありますので。
暗記を効果的に行うために知っておきたいこと2
暗記学習を効率的に行うためにもう一つ知っておいて欲しいことがあります。
それは、「暗記の基本は反復学習である。」ということです。
これについては、おそらく多くの方が知っている話だと思いますが、非常に重要な話なので、あえて、取り上げさせてもらいました。
人間の脳というのは日々、入ってくる新しい記憶に対応するために古い記憶でしかも脳自身が「重要でない」と判断した記憶を自然に忘れるようにできています。
つまり、覚えたことを忘れないでいるためには、その記憶が重要なものであると脳に判断させる必要があるのです。
では、どうすれば脳にその記憶が重要なものであると判断させることができるのでしょうか?
実はこれは非常に簡単な話で、「ある程度の時間を空けて思い出す」ということを何度か繰り返せばいいのです。
つまり、学習した内容を覚えるためには、「覚える」という行為自体以上に、「思い出す」という行為が重要な意味を持つということですね。
たまに暗記をするために、一つのことを呪文のように繰り返し唱えている人を見ることがありますが、そんな風にして一度で覚えようとするのは成果の出にくいやり方ということになります。
一回、一回の学習自体はさらっと流すような感じもいいので、その代り、時間を空けて何度も繰り返すのだということを心掛けてみましょう。
たった、それだけのことでもあなたの暗記学習の効率はご自身が驚くほどに改善されるはずです。
暗記の具体的な方法論
それでは以下に、宅建試験の学習に使える様々な暗記のための方法論についてお話ししていきたいと思います。
ここまでお話ししたことを明確に認識しているだけでも暗記学習の効率をかなり高めることができると思いますが、さらに学習効率を高めるために必要に応じて利用して下さい。
1.耳からインプットする。
テキストや過去問を録音し、それを日々、聴きつづけることによって暗記してしまうという方法です。
私自身が資格試験の勉強をしていた時には、もっとも多用した方法です。
この方法の最もいいところは、特に意識しなくても暗記学習を効率的に行うための繰り返し学習が行えるというところです。
この方法を取り入れたおかげで、、私自身は資格試験の学習で暗記に苦しんだことがほとんどありません。
気が付けば、大切なことはほとんど覚えているという感じになるからです。
また、耳からインプットする方法は、スキマ時間を学習時間として活用する方法としても非常に優れていますので是非とも取り入れて頂きたいと思います。
2.ワンセットで覚える。
複数の同じような規定、あるいは全く逆の規定をワンセットで覚えるという方法です。
テキストなどで図表にまとめられている事項がありますよね。
あれは、まさしくこの「ワンセットで覚える。」という発想のもとで作られているものなのです。
たとえば、「詐欺による取消しは善意の第三者には対抗することができない。」という規定は
それ単体では記憶として危ういものですが
「強迫による取消しは善意の第三者にも対抗することができる。」という規定、さらには
「制限行為能力による取消しは善意の第三者にも対抗することができる。」という規定と
ワンセットにすることによって記憶が強固になりますよね。
これを様々な事項について行うことによって、暗記学習の効率を高めようということです。
「ワンセットで覚える。」学習は、特別な手間をかける必要はなく、同じような規定、あるいは全く逆の規定をお互いにリンクさせるだけで行うことができます。
先の例で言えば、詐欺による取消しについて記載されている箇所に、強迫による取消しについて記載されているページと制限行為能力による取消しについて記載されているページをそれぞれメモしておけば良いだけです。
(強迫による取消しについて記載されている箇所と制限行為能力による取消しについて記載されている箇所にも、それぞれ同じようなメモを行います。)
ほんのわずかな手間で暗記学習が非常に楽になりますので、是非とも取り入れてみて下さい。
チェックペンを使う。
学生時代に誰もが一度はお世話になっているであろうチェックペンを使うという方法です。
知らない人のために一応、説明しておきますとチェックペンとは、ラインマーカーのようなもので、線を引いて、緑色のシート(今は他の色のシートもあるようです。)をかぶせると、線を引いた部分が見えなくなるという学習ツールのことです。
多くの方が経験されているとおり、チェックペンは暗記学習を行う上で非常に強力なツールです。
チェックペンを使った学習ではチェックペンを引いて見えなくなっている事項を思い出そうとすることになりますが、その「思い出そうとする」行為自体に記憶を強固にする効果があるからです。
先ほどもふれたとおり、暗記学習では「覚える」という行為自体以上に、「思い出す」という行為に重要な意味があるのでしたよね。
また、私の個人的な意見かも知れませんが、クイズでもやっている気分になってしまうのか、ほんの少し、暗記学習が楽しくなるような気もします。
そういう意味では暗記学習をやることを考えると気が重くなるという方にもおすすめの暗記法と言えるかと思います。
記憶術を使用する。
いわゆる記憶術をマスターし、それを使用して暗記学習を行うという方法です。
記憶術については、昔、雑誌の裏などにあやしげなグッズと並んで広告が掲載されていたこともあり、胡散臭いものと考えている方も多いようですが実際にはそんなことはなく、しっかりとした「技術」として確立されているものなので、その点については安心して頂きたいと思います。
ただしあくまで一つの「技術」ということになりますので、習得するとなれば、それなりの時間と労力をかけなければならないことを覚悟しなければなりません。
ですので、その必要性をしっかりと見極めた上で、習得するべく努力するか否かを判断して下さい。
たとえば
今現在、宅建試験の勉強をしているが、これまでご紹介した暗記法程度では、問題解決できそうにないほど暗記ができないとか
宅建試験に合格した後に、ステップアップしてさらに難関資格を受験する予定があるという方であれば
記憶術の習得について検討してみる価値があると思います。
なお、記憶術の習得については、書店で売られているような一般的な書籍を読んだ程度では、私の経験上、ほぼ不可能だと思います。
一番いいのは記憶術の講座に通うことだと思いますが、効果のある講座は、どれも受講料が非常に高く、どなたでも気軽に利用できるものではないでしょう。
そこで次善の策として以下のような記憶術の教材をご紹介しています。
私が過去に指導してきた受験生の中にもこれを利用して記憶術を学ばれた方が、何人かいますが、真面目に取組まれた方は、ほぼ全員が記憶術をマスターしています。
そういう意味では信頼性の高い教材ですので、記憶術の習得を目指される方は、是非、利用を検討してみて頂きたいと思います。
ゴロで覚える。
記憶には、それを思い出すためのフックというものがあります。
あなたにも、ふと、「古い友人の名前」を思い出したことをきっかけに、その古い友人に関連する様々なことを思い出したという経験がありませんか?
その場合「古い友人の名前」が記憶のフックになっていたわけです。
「ゴロで覚える。」という方法は、言わばこの記憶のフックを意図的に作り出す方法と言えるでしょう。
「ゴロで覚える。」という方法は非常に簡単に実践できるものであり、また、すぐに効果が出る方法なので充分、使用価値があることは間違いありません。
ただし、使用するゴロの数が増えて来るとゴロを覚えること自体が大変になったり、ゴロと暗記すべき事項の関連づけが曖昧になったりするという弱点もありますので、ここは絶対に覚えたいという重要事項を暗記する場合に限って、使用するのが得策かと思います。
カードを使う。
これも非常に原始的な方法ではありますが、効果があることは間違いないでしょう。
カードを使用して暗記学習を行うと暗記に必要な集中と反復が非常に行いやすくなるからです。
特に「耳からインプットを行う。」学習が合わないという方にとっては、スキマ時間を活用する手段としても取り入れることを検討したい方法です。
「カードを使う。」方法の最大の弱点は、「カードを書く。」という準備段階にあまりに時間がかかり過ぎることです。
もちろん「カードを書く。」こと自体にも暗記効果はありますが、使うことになる時間と労力から考えると割に合うほどの効果とは言えないでしょう。
そういった意味では「ゴロで覚える。」という方法と同様にここは絶対に覚えたいという重要事項を暗記する場合に限って、使用するのが得策ということになるでしょう。
なお、カードを作る際には、頭の中で要点だけを上手にまとめて書くということが絶対的に必要になります。
このことを意識しないと、書くことが無駄に増える上に、暗記学習の効率自体も悪くなってしまいますので、必ず「まとめて書く」ということをやるようにして下さい。
最後に
ここまで随分、長々と暗記法について書いてきましたが、大切なことはあなたに合った方法を選択して、それを取り入れるということです。
言うまでもなく、ここで紹介した方法を全部、取り入れたりする必要はありませんので、あなたに合った方法を単独でもしくはいくつか組み合わせて使用して頂ければと思います。
あとはあなたの継続的な努力さえありさえすれば、必ず、宅建試験合格に必要充分な暗記が行えるようになるはずです。
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